持分会社って何?~基礎知識と設立の方法。株式会社との違いについて~

ポイント
  1. 持分会社は3つの会社の総称
  2. 持分会社の持分って何?
  3. 持分会社にするメリット・デメリット

目次 [非表示]

皆さんは、「持分会社(もちぶんがいしゃ)」って聞いた事があるでしょうか?世の中には、株式会社や、合同会社等、様々な形態の会社が沢山存在しているわけですが、この「持分会社」と言うのは、上記で言うと「合同会社」に当てはまります。株式会社とは違うの?と思われた方もいらっしゃると思いますが、株式会社は持分会社とは言いません。では、ここから具体的に持分会社とは一体何なのか?

また、その設立方法や、株式会社との違いについては何なのか?等について、見ていきたいと思います!

1. 持分会社は3つの会社の総称

持分会社と言うのは、株式会社と同様の営利目的の会社です。営利目的と言うのは、「お金を儲ける事が目的」と言う意味であり、そこについては株式会社と同じです。しかし、持分会社には株式会社は含まれません。持分会社と呼ばれる会社は会社法という法律の定義の中では下記の3つとなっております。

① 合同会社
② 合名会社
③ 合資会社

以上の3つの会社が、「持分会社」と呼ばれるものになります。

知名度としては、株式会社ほど高くはありませんが、現在では皆さんご存知の大手企業、Amazonジャパンも、ここにある「合同会社」であり、持分会社となります。以下に皆さんが利用していると思われる可能性の高い合同会社を紹介しておきます。

・アップルジャパン合同会社
・モンスターエナジージャパン合同会社
・西友(ウォルマートの子会社)
・日本ケロッグ
・ニコル・オートモビルズ合同会社(BMWアルピナの日本総代理店)
・ユニバーサル・ミュージック

このように、実際には我々が知らないだけで、大きいと思われる会社の中でも、株式会社ではなく、持分会社として運営している企業もあるのです。ちなみに、合同会社に関しては「有限責任」と言い、株式会社と同様で、責任を負う上では限度が設けられています。一方、合名会社と合資会社に関しては「無限責任」と言う、責任を負う上では限度が設けられておりません。

このような背景から、現在では、一般的に起業される方の多くが、株式会社や合同会社を設立するケースが多い為、今回は持分会社の中でも、解説の際には、合同会社に絞ってお話をさせて頂きたいと思います。

2. 持分会社の基礎知識

皆さんも耳にした事があると思うのですが、「有限会社」ってご存知でしょうか?今現在でも、有限会社と名乗る会社は残っているのが事実ですが、実はこの有限会社は平成18年に会社法と言う法律によって、現在は廃止されております。廃止されたと言うのは、新しく「有限会社」の形態となる会社を作る事が出来なくなったと言う事であり、既存の有限会社が無くなったと言う事ではありません。ちなみに現在残っている有限会社は法的には特例有限会社と呼ばれています。

話を戻しますが、この廃止をきっかけに、新しく設けられたのが、持分会社と呼ばれる合同会社なのです。この合同会社のポイントとして覚えて頂きたいのが、会社を設立する時に、何人かが集まって出資金を払い込み、それぞれが社員になる形態だと言う事です。ちなみに、合同会社は、1人でも設立する事が可能ですから、出資者1人と言う形でも合同会社を設立する事ができます。

また、この出資者は、持分会社では「社員」と言うのですが、一般的に皆さんがよく使われる「会社の社員」と言う意味合いとは違い、出資者自身の事を社員と呼びます。更に、株式会社のように、株を発行するわけではありませんから、株主総会や、取締役会等も無いと言う事になります。わかりやすく言うと、出資者が3人いれば、それぞれが自分の出資した分だけの会社の権利を得、共同経営者のような状態をイメージして頂くと良いと思います。

3. 持分会社の持分って何?

会社とは付いているものの、その前に「持分」と付きます。この持分って、一体何の事を意味しているのでしょうか?まずは、イメージとして持って頂くとわかりやすいと思うので、例を上げておきましょう。合同会社を設立する際に、それぞれでお金を出し合って会社を設立すると言うのがポイントです。

このお金をリンゴに例えてみましょう。1つの箱の中に、会社を設立する際、それぞれが持ってきたリンゴを全て入れるとします。その出資したリンゴが、会社の資産になるとします。リンゴが全部で100個あると仮定しますと、Aさんが持ってきたリンゴは10個。Bさんが持ってきたリンゴは40個。そしてCさんが持ってきたリンゴが50個だったとします。この3名が持ってきたリンゴの数、それぞれが、その会社の資産となるそれぞれの持分の量だと想像してみて下さい。つまり、Aさんの持分は10%、Bさんの持分は40%、Cさんの持分は50%と言う事になります。

それぞれ「自分が持っている分の会社の権利」と思って頂ければと思います。各自それぞれ持っている持分が、その方の社員たる地位の事を表わしているのです。その持分の分だけ、会社の社員として、経営の方針をどうするのか?や、誰に任せるのか等の重要な事項を決定する権利を得ると言う事になります。

3-1.株式と合同会社の持分って違うの?

ここで、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、解説しておきますが、株式会社の場合は、株式を発行し、その発行した株式を会社経営に関係のない第三者が購入する事によって、会社の株を所有する事が可能です。しかし、持分会社の場合は、経営に関わっている人、それぞれで持分を保有しますから、外部から口を出される事はありませんし、経営に指図をされる事はありません。

つまり、規模としては、株式会社よりも持分会社の方が小さくなるものの、持分会社なりのメリットもあると言う事になります。ただし、上記の中でも解説のあったように、規模が大きくても株式会社にはせず、持分会社として経営をしていく会社も存在します。要は、どのようなスタイルで経営をしていきたいのか?と言う点がポイントとなってくるのではないでしょうか。

4. 持分会社(合同会社)の設立方法

持分会社である合同会社を設立する場合には、株式会社と同じように、「この会社を設立しました」とする登記を法務局に行わなければなりません。登記をする為には、法律で定められた一定の費用が必要となりますので、見ておきましょう。

4-1.登記に必要となる費用について

必要となる費用は以下の通りです。

◆ 登録免許税:6万円
(資本金の金額 × 0.7% です。もし6万円に満たない場合には、最低額となる6万円を支払う事になります)

◆ 定款謄本手数料:2千円程度
◆ 収入印紙代:4万円

以上のような費用がかかります。

ただし、収入印紙の料金については、電子定款を行う事で0円にする事が可能です。この場合は、電子定款を行う事ができるプロの専門家でしたら大体お願いする事が可能ですから、依頼料に比べても安く済む事でしょう。また、持分会社(合同会社)の場合は、定款の認証手数料は必要とされておりません。ここでは合同会社の設立を例に挙げていますが、合名会社と合資会社に関しては社員(経営者)の責任が無限責任のために現在はほとんど設立がされていませんので省略しております。

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