独立してから最低限必要になる売上はいくら?

目次 [非表示]

独立や開業をすると各種税金や社会保険料などを自分で納付しなければなりません。特に個人事業主に対する税制上の扱いはサラリーマンに比べて厳しめです。

したがって、生活水準を維持するためには、独立前よりも高い収入を得る必要が出てきます。それでは、どのくらいの売上を上げれば良いのでしょうか。

ここでは、独立してから最低限必要になる売上について解説します。

独立して最低限必要な売上はどのくらいなの?

そもそも売上とはどんなもの

売上とは事業によって得た収入のこと。利益とは別物です。

1000万円の売上を上げたとしても、諸経費に800万円かかったとしたら、利益は200万円のみということになるのです。

売上と費用の額がちょうど等しくなる売上高を損益分岐点といいます。

損益分岐点では収支がトントンになって利益が出ないため、他に収入がなければ日常生活ができません。

事業にかかる費用は大きく固定費と変動費に分けられ、売上と連動して増減する費用を変動費といいます。原材料費や運送費などがこれにあたると考えて良いでしょう。

事業にかかる固定費を調べよう

独立して事業を始めると、売上があるかどうかに関係なく固定の費用が発生することがあります。

事業所を借りた家賃や地代、毎月かかるソフトウェアの利用料などがこれに該当します。

また、開業にあたって資金の融資を受けた場合は、その返済も滞りなく続けていかなくてはなりません。

固定費はもうけが出なくても支払わなくてはならないので、まずはこれらの金額がどのくらいになるかについて把握しましょう。

自分で納付する税金を知ろう

開業して一定額以上の所得を得たら所得税や住民税を支払わなくてはなりません。

サラリーマン時代には企業が税金の支払いや年末調整を担当していたため、税制の仕組みや詳細な金額を把握していない人も多いでしょう。

しかし、独立した後は納税や確定申告を自らする必要があるのです。

サラリーマンの場合、給与から税金や社会保険料が天引きされており、40歳以降は介護保険料も引かれます。

所得税や住民税のベースになる課税所得は、年末調整で年収から基礎控除と給与所得控除、社会保険料控除などを差し引いて算出します。

天引きした金額のほうが多ければ、その分が還付される仕組みです。

一方、独立して個人事業主になると社会保険の対象ではなくなり、その分の控除も受けられなくなります。

将来に備えるために国民年金に加入するという人も多いのではないでしょうか。

厚生年金の保険料に比べると金額は低めですが、その分だけ将来受け取れる年金も少なくなります。

また、社会保険の保険料は会社が50%負担しますが、独立後の国民健康保険や国民年金保険、介護保険は全額自己負担です。

つまり、個人事業主は基本的に下記のような税金を自分で納付することが求められるのです。

  • 所得税と住民税
  • 国民健康保険料と国民年金保険料
  • 40歳以降は介護保険料

サラリーマン時代よりどのくらい売上を上げればよいのか

個人事業主の場合、課税所得は総収入から基礎控除と必要経費、青色申告特別控除や社会保険料控除などを差し引いて求めます。

個人事業主よりもサラリーマンのほうが税制面で優遇されているので、控除の総額が多くなります。

そのため、収入が同じでも個人事業主のほうがサラリーマンより税金が高くなるのです。

例えば、「収入1000万円で扶養家族がいない」という条件で比較してみましょう。

サラリーマンの場合なら所得税は約77万円、住民税は約61万円となり、合計で約138万円です。

しかし、個人事業主なら所得税は約176万円、住民税は約100万円となり、合計で276万円ほどになります。この分だけで140万円ほどの差が出てしまいます。

保険料や税金、事業の運転資金を含めると、サラリーマン時代より最低でも200万~250万円程度多い売上が必要になるでしょう。

ただし、収入が多いほど税金も高くなります。条件にもよるものの、余裕を持って事業を継続していくためには1000万円を超える売上が必要だと考えておくと無難です。

売上が1000万円以下だと普通のサラリーマンより生活が苦しくなることもあるのです。

個人事業税と消費税が発生することも

個人事業主で条件を満たす人は、個人事業税と消費税を納付しなくてはなりません。

このうち、消費税は基本的に売上が1000万円を超えたら、たとえ赤字でも支払うことが求められます。ただし、2年間の準備期間があります。

消費税の支払いを避けるために、売上を1000万円以下になるよう調整する人も少なくありません。

片や、個人事業税は下記の式で求めます。

個人事業税=(収入-経費-専従者給与等-各種控除)×税率

個人事業税の税率は業種によって違いますが、3~5%です。

個人事業税には290万円の事業主控除が適用できるので、290万円を超える収入がない場合は個人事業税がかかりません。

しかし、税金がかからない範囲の収入のみで生活していくのは難しいでしょう。

売上1000万円を超えるにはどうすればいい?

iStock-477709432

経営者としての基本がわかっている人なら、売上1000万円を超えることはそれほど難しくないかもしれません。

経営者に求められる主な資質としては下記のような項目があるでしょう。

  • 簿記や経理の知識
  • マーケティングの知識
  • 法律の知識
  • マネジメント能力
  • コミュニケーション能力

インターネットを活用すれば、これらの知識や技術を習得する方法は多数みつかります。

ネットだけでは不十分だと感じたら、セミナーや交流会など、あらゆる方法を使って知識を得ることが大切です。

売上を伸ばすために知っておきたいこととは!

充分な資金の準備を

よほど好機に恵まれたというケースでない限り、独立してすぐに売上が伸びることはまれです。

事業が軌道に乗るまでのあいだに運転資金がつきてしまうことのないよう、開業や独立の前に充分な資金の準備をしておきましょう。

時代のトレンドを見極めよう

売上を伸ばして事業を継続させていくには、今の時代に何が求められているかを常にリサーチすることが大切です。

事業がうまくいかないなら、その原因を分析して改善につなげる必要があるでしょう。

きちんと検討せずに、思いつくままやみくもに行動するのは避けなくてはなりません。

そもそも、流行の移り変わるスピードは非常に早くなっているので、1度成功したからといって長く事業を継続できるとは限らないのです。

次々に出てくる新しい技術や知識、およびニーズをすばやくキャッチして、短いサイクルで事業に反映させるよう心がけましょう。

おすすめ関連記事

ー自分で会社を設立しないで、既存会社を購入して起業するー
「2019年1月更新/新しい起業の方法や種類登場。副業~会社を買って起業」

ー合同会社の設立を考えているなら確認しておくことー
「合同会社設立(LLC設立)について日本で恐らく1番分かりやすいまとめ」

ー個人事業主は法人とはどのような違いがあるのか?ー
「個人事業主と法人とは?違いを超わかりやすく解説」

ー専門家が分析した起業・独立で失敗するパターンを理解しておこうー
「起業・独立・開業で失敗するパターン62選【起業支援の専門家が指摘!】」

ー少額の資本金での起業にはどのような事が起こりうるのかを理解しようー
「1円起業をはじめ超少額の起業について実態をまとめてみた」

ー資金調達をするにはメリットとデメリットを理解して行動しようー
「2019年1月更新/10種類以上の資金調達の種類、方法、メリット、デメリットまとめ」

ー起業を創業時から助けてくれる助成金・補助金の制度を理解しようー
「2019年1月更新/起業・創業を助ける様々な助成金・補助金を徹底解説!」

ー起業に必要な資金をタイムテーブルを見ながら理解しようー
「起業に必要な費用やお金を時間軸とともにまとめました」

ー最近シニアの起業家が増加している理由はなぜなのか?ー
「シニア起業が急増!50代、60代で起業する人が増えている理由」

ー増えるシニア起業とその成功と失敗はどうして発生するのかを考えようー
「急増するシニア起業!成功事例と失敗事例、業種、考え方をわかりやすく解説」

関連記事